相続登記の5つの相談先とは?使い分けや注意点などを紹介

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相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、登記簿上の不動産名義を亡くなった方から相続人に移す手続です。国内の不動産に関する情報は、基本的にすべて登記簿に記されるようになっており、相続が起きた際も所有権の移転を登記簿に反映させるために、相続登記を行う必要があります。

相続登記はこれまで義務ではなかったので、相続登記が行われないことも少なくありませんでした。しかしその結果、登記簿上の所有者と実際の所有者が異なる不動産がたくさん生まれたため、令和6年4月1日からは相続登記が義務化されることになりました。

義務化以降は、不動産を取得した相続人は3年以内に相続登記の申請をしなければならず、正当な理由なく申請を怠ると10万円以下の過料が科されます。

相談先は主に5つ

相続登記の相談先としては、主に以下の5つがあります。

  • 法務局
  • 自治体
  • 相続登記相談センター(司法書士会相談窓口)
  • 司法書士
  • 弁護士・法テラス

それぞれの相談先で、相談できる内容やメリット・デメリットなどが異なるので、どのような違いがあるのかを理解しましょう。

法務局

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法務局は相続登記について無料で相談できる窓口を設けており、申請に必要な書類や登記申請書の書き方などを聞くことができます。また、不定期で無料相談会を開催している法務局もあります。

法務局では、登記申請書や登記簿謄本などの相続登記に必要な書類も取得できるので、手続をまとめて行えるというメリットがあります。

ただし、相談に対応するのは法務局の職員であり、法律の専門家ではないので、相続に関わる法律上の問題点などについては相談できません。また、申請書や添付書類を代理で作成してくれるわけではないので、アドバイスを受けたうえで書類の作成・収集は自分で行う必要があります。

法務局での無料相談は、基本的に窓口が開いている平日の日中に限られます。そのため、日程の都合を付けられないと相談できないというのも、デメリットといえるでしょう。

そのほか、相談できる時間が短いことや、予約がかなり先の日程になってしまうといったデメリットもあります。

なお、最寄の法務局をお探しなら、以下のページから確認できます。

自治体

市区町村などの自治体では無料の法律相談窓口を設置しており、弁護士や司法書士など法律の専門家が相続の相談にのってくれます。

法務局の相談窓口との違いは、無料で専門家に相談できるという点です。また、役所の窓口は法律事務所などに比べれば身近な場所なので、敷居の高さを感じず気軽に相談しやすいというのもメリットです。

ただし、自治体での相談はおおよそ30分程度に限られるので、一から相続登記について教えてもらうのは難しいでしょう。また、同じ人に継続して相談できるとは限らないため、スムーズに話しが進められないというのもデメリットです。

以上のことから、自治体での相談は、複雑な問題や解決に時間を要する内容には適していないといえます。

相続登記相談センター(司法書士会相談窓口)

日本司法書士連合会では、全国統一で相続相談ができるフリーダイヤル「相続登記相談センター」を設置しており、相続登記をはじめとした相続全般に関する相談を受け付けています。

■相続登記相談センター

  • 電話番号:0120-13-7832
  • 受付時間:月曜日から金曜日10:00~16:00(祝祭日、年末年始、お盆期間を除く)

※参照:相続登記相談センター特設サイト|日本司法書士会連合会

こちらは自治体の相談窓口と同じく、登記の専門家である司法書士に相談できるというメリットがある反面、同じ人に継続して相談するのが難しいというデメリットがあります。

また、司法書士会ごとに無料または有料の相談会などを開催している場合もあるので、そちらを利用して司法書士に相談することもできます。相談会では、ケースに合わせて司法書士やその他の専門家を紹介してもらえる場合がありますが、相談会当日は司法書士に依頼できないこともあります。

司法書士

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司法書士は登記の専門家であり、相続登記をはじめとして相続人調査、相続放棄、遺産分割など、相続全般に関わる相談ができるほか、相続登記の申請を代理で行うことができます。登記申請書の作成や申請など、相続登記に関する手続の代行は、弁護士と司法書士以外行うことができません。

司法書士に相談すれば、相談後すぐに依頼することも可能なので、相談から依頼までスムーズに進められるというのがメリットです。

また、依頼した司法書士からは、弁護士や税理士などのほか、士業を紹介してもらえる場合もあるため、相続に関する問題をワンストップで解決できるというのもメリットです。

司法書士への相談は基本的に有料(初回相談のみ無料の場合あり)で、相続登記手続を依頼する前提での相談となります。そのため、自分で手続をするためのアドバイスを受けたいという人にはあまりおすすめできません。

弁護士・法テラス

弁護士は法律を専門的に扱う士業の中でもっとも業務領域が広く、相続登記の相談に限らず法律関係の業務を幅広く行うことができます。調停や審判などの紛争処理を代理で行えるのは弁護士だけであり、司法書士などの他士業には行うことができません。

相続登記に関する相談から相続登記手続の代行、そして紛争処理までワンストップで行えるのが、弁護士に依頼するメリットです。

また、「弁護士に相談したいけど費用を支払う余裕がない」という場合、弁護士費用の立替や無料相談サービスが受けられる法テラスを利用するという手段もあります。

ただし、すべての弁護士が相続登記に関する相談を取り扱っているわけではないので、弁護士に依頼する場合には、相続登記を取り扱っている弁護士を探す手間がかかるというデメリットがあります。

状況に応じて相談先を使い分けよう

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それぞれの相談先を使い分けられるように、ニーズに応じた相談先を紹介します。どこへ相談するべきか迷った際は、こちらを参考にしてください。

できるだけ費用を安く抑えたい

費用面を重視するのであれば、法務局や各自治体の無料相談を利用するとよいでしょう。無料相談を受けて手続をすべて自分で行えば、必要書類を用意するための実費分しか費用がかからないので、もっとも経済的に相続登記の手続を行えます。

ただし、法務局や自治体では書類の作成を代行できないので、書類は自分で作成しなければなりません。また、申請の事前審査をしてくれるわけでもないため、申請書の内容が誤っていたり必要な書類が不足したりしていた場合、あとから修正を依頼されて二度手間になる可能性もあります。

時間を節約して相続登記手続をしたい

時間を節約して相続登記手続をしたい方は、司法書士に依頼するのがおすすめです。司法書士なら書類の収集から相続登記の申請まで、すべて代理で行えます。

相続登記には戸籍や住民票など必要書類がたくさんあり、役所の開庁時間に合わせて書類を集めなければなりません。特に戸籍はどこまでの範囲が必要になるかケースごとに異なるので、判断するのに時間と労力がかかります。

司法書士に依頼すれば、法務局への申請も代理で行えるので、手間を削減して手続を済ませられます。

相続手続全般をサポートしてほしい

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相続登記に関する相談だけでなく、相続の手続全般をサポートしてほしいという場合には、司法書士への依頼がおすすめです。

相続人がしなければならないことは、相続登記に必要な書類の収集や亡くなった方(被相続人)の財産調査、預貯金の解約手続、遺産分割協議書の作成など多岐にわたりますが、司法書士であればこれらの業務すべてを代行可能です。

正確に相続登記の手続を行いたい

誤りなく正確に相続登記手続を行うには、司法書士に任せるのがよいでしょう。自分で相続登記の手続を行う場合、手続自体は正しくできたとしても登記そのものが誤っていることもあります。

たとえば、敷地が2筆以上にわかれているのに1筆分しか登記をしていなかったり、物置や離れが母屋とは別に登記されているため、登記が漏れてしまったりすることなどが考えられます。

相続登記は司法書士の専門分野なので、司法書士に依頼すれば漏れなく正確に相続登記を行うことができます

遺産分割協議でもめている

相続登記をする以前にそもそも遺産分割協議がまとまっていない場合、まずは弁護士に相談しましょう。弁護士は遺産分割協議・調停・審判をすべて代理で行うことができ、法的な手段を用いて紛争を解決してくれます。

紛争処理を行えるのは士業の中でも弁護士に限られ、司法書士でも取り扱うことができません。そのため、相続人同士の話し合いでは協議がまとまらず、相続登記の手続までいかないという場合、弁護士へ相談して協議の代理を依頼するのがおすすめです。

相談前に知っておくべきこと・注意点

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相続登記の相談をする上で、事前に知っておくとよいことや注意点があります。こちらを抑えておけばより適切に相続登記の相談ができるので、一通りチェックしておきましょう。

亡くなる前に相続登記を依頼できない

不動産の所有者が亡くなる前に、あらかじめ相続登記を依頼することはできません。なぜなら、相続登記で行う手続は「所有権移転登記」手続ですが、相続が発生する前はまだ所有権が移転していないからです。

もっとも、不動産の生前贈与や遺言書作成など、生前対策に関する相談であれば可能です。これらのような生前対策を検討している場合には、司法書士に相談してもよいでしょう。

相続登記の専門家は弁護士ではなく司法書士

弁護士も法律上は相続登記を行うことができるのですが、実際には相続登記の相談を行っている弁護士事務所は少ないと考えられます。なぜなら、弁護士は主に紛争処理を取り扱う法律家であり、相続登記は司法書士の専門分野だからです。

相続登記に関する相談だけの場合、弁護士に相談へ行っても司法書士への相談を勧められる可能性があります。そのため、相続登記の相談や手続の代行を依頼するのであれば、司法書士に依頼するのがよいでしょう。

司法書士報酬は事務所によって異なる

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相続登記を依頼する際の司法書士報酬は、約3~12万円です。司法書士報酬には幅がありますが、これは各司法書士が自由に報酬を定められるからです。また、相続登記の申請だけでなく、遺産分割協議書の作成や相続人調査なども依頼する場合、費用はさらに高額になります。

報酬は司法書士によって大きく異なるので、依頼前に必ず費用について確認しておきましょう。

※参照:司法書士の報酬と報酬アンケートについて(平成30年1月)」|日本司法書士連合会

相談先を使い分け、正しく相続手続を行いましょう

相続登記について相談できる窓口は複数ありますが、ニーズに合った相談先を選ぶことが大事です。

費用を安く抑えたいのであれば、無料相談ができる法務局や自治体、相続登記相談センターを利用するとよいでしょう。遺産分割協議でもめているならば、紛争処理を依頼できる弁護士への相談がおすすめです。

司法書士に依頼すれば相続登記に関する相談だけでなく、相続の手続全般をサポートできるので、スムーズかつ正確な相続登記手続が行えます

本記事を参考にして自分に合った相談先を選び、正しく相続登記手続を行ってください。

記事の監修者

司法書士法人さくら事務所 坂本孝文

司法書士法人さくら事務所
代表司法書士 坂本 孝文

昭和55年7月6日静岡県浜松市生まれ。大学から上京し、法政大学の法学部へ進学。
平成18年に司法書士試験に合格。その後、司法書士事務所(法人)に入り債務整理業務を中心に取り扱う。
平成29年に司法書士法人さくら事務所を立ち上げ、相続手続や不動産登記、債務整理業務を手がける。

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