相続登記をオンラインで申請する方法について

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相続登記を申請する方法

相続登記とは、不動産所有者が亡くなった場合に相続人へ名義変更する手続を指します。この手続の申請は窓口や郵送のほかに、オンラインで進める方法があります。

今回解説するオンライン申請とは、正確には手続の一部をオンラインで行う「特例方式」という方法です。この特例方式は、半分だけオンラインで手続するという意味で、通称「半ライン申請」とも呼ばれています。

具体的には申請自体はオンラインで行い、戸籍謄本などの添付書類は法務局に郵送するという方法です。これは、戸籍謄本などの書類をすべて電子文書化して電子署名を付与するという作業がとても煩雑であるためです。

以上を踏まえて、オンラインでの申請方法について紹介していきます。

オンライン申請の事前準備

オンライン申請の事前準備_イメージ

オンライン申請をするうえでの事前準備として、用意しておくものや必要書類などについて解説します。

必要なもの

相続登記のオンライン申請では、以下のものを使います。

  • パソコン
  • マイナンバーカード
  • ICカードリーダライタ

パソコン

オンライン申請は、パソコンから「申請用総合ソフト」というシステムにログインして行うので、パソコンが必須です。パソコンの推奨環境は、下記を参考にしてください。

【パソコンの推奨環境】

推奨環境の項目 推奨環境
CPU 800MHz以上
メモリ 1GB以上
ディスプレイサイズ 1024×768以上を推奨
ハードディスク 300MB以上の空き容量
OS Windows10、Windows11

パソコンに関しては高いスペックが求められるわけではないので、一般的な家庭用パソコンを所有していれば、手続を進めることができるでしょう。可能であればOSの最新版をインストールしておくことをおすすめします。

※参照:申請用総合ソフト「ご利用環境の確認」|法務省

マイナンバーカード

電子証明書としてマイナンバーカードが必要です。これからマイナンバーカードを取得する場合は、オンライン申請時に必要なマイナンバーカードの「署名用電子証明書」を得るため、署名用電子証明書の「不要」欄にチェックを入れずに申請しましょう。

ICカードリーダライタ

ICカードリーダライタは、マイナンバーカードを読み取るための機器です。マイナンバーカードを利用して電子署名を行う場合、マイナンバーカードに搭載された電子証明書を読み出すため、ICカードリーダライタをパソコンに接続する必要があります。

ICカードリーダライタは、ECサイトや家電量販店などで1000円程度で購入できるため、相続登記のオンライン申請をする前に準備しておきましょう。

必要書類

相続登記を行う際は、申請方法にかかわらず以下のような書類が必要です。

  • 遺産分割協議書
  • 相続人の印鑑登録証明書
  • 不動産相続人の住民票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 亡くなった方の住民票(除票)
  • 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本
  • 固定資産評価証明書
  • 相続関係説明図

それぞれの書類の内容や取得方法などを解説します。

遺産分割協議書

遺産分割協議書には、相続する不動産の情報を全部事項証明書の内容どおり正確に記入し、誰がその不動産を相続するのかを明記して作成します。相続人全員が協議の内容に合意したことを証明するために、作成した遺産分割協議書には相続人全員の捺印が必要です。

相続人の印鑑登録証明書

遺産分割協議書の押印が本人のものであることの証明として、印鑑登録証明書を提出します。印鑑登録証明書は印鑑登録している市区町村で取得でき、取得にかかる費用は200~300円程度です。

不動産を相続する相続人の住民票

不動産登記簿に所有者の住所を正確に記録できるよう、相続登記の際は住民票の写しを提出します。住民票の写しは住民登録している市区町村で取得でき、取得にかかる費用は200〜300円程度です。

相続人全員の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本_イメージ

相続人に相続の権利があることを証明するために、相続人の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本は本籍のある市区町村で、1通450円で取得できます。

戸籍謄本は相続人が存命している証拠になるため、相続開始後に取得しましょう。なぜなら、相続開始前に相続人が亡くなっていた場合、相続人の権利が移って相続開始前の戸籍謄本では正しい証明にならない可能性があるためです。

亡くなった方の住民票(除票)

亡くなった方の住民票(除票)の写しは、登記簿上の不動産の所有者と亡くなった方が同一人物であることを証明します。亡くなった方の住民票(除票)の写しは、その方の最後の住所地にある市区町村で取得可能で、費用は200~300円程です。

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本

相続人を確定させるために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する必要があり、費用は750円です。相続人が亡くなった方のきょうだい・甥姪などである場合、亡くなった方の父母の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本も必要です。

固定資産評価証明書

登録免許税の計算には固定資産評価額が必要であるため、固定資産評価証明書を取得して確認します。固定資産評価証明書は不動産が所在する市区町村で取得でき、取得にかかる費用は200~400円程です。

相続関係説明図

相続関係説明図とは、亡くなった方と相続人との関係を表した図のことであり、亡くなった方を中心として各相続人を続柄ごとに線で繋いで図を作成します。家系図をイメージするとわかりやすいでしょう。

相続関係説明図を作成する際は、亡くなった方とすべての相続人の名前、生年月日、続柄を書き込みましょう。親族関係を正確に示すために、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本などを参考にして作成してください。

申請用総合ソフトのインストール

オンライン申請では「登記・供託オンライン申請システム」の「申請用総合ソフト」を使用します。申請用総合ソフトとは、登記・供託オンライン申請システムで取り扱う手続をすべて行えるソフトウェアです。まずは登記・供託オンライン申請システムで申請者情報登録を行い、申請用総合ソフトをインストールしましょう。

申請用総合ソフトでの申請手順

申請用総合ソフトを使ったオンライン申請の手順を解説します。申請書の作成からデータ送信まで、一連の手順を確認しましょう。

申請書の作成

申請用総合ソフトにログインして、以下のボタンをクリックしながら進み、申請書の様式を表示させます。

  1. 「申請書の作成を行う」
  2. 「不動産登記申請書」
  3. 「登記申請書(権利に関する登記)【署名要】」
  4. 「登記申請書(権利に関する登記)(4)所有権移転(相続)【署名要】」

様式が表示されたら、必要な項目を入力します。ここで入力した情報は登記簿にそのまま反映されるので、内容に間違いがないかよく確認しながら入力を進めましょう。

不動産の表示を入力する方法として、オンライン物件検索と物件情報の直接入力が選べますが、正確な物件情報を登録するためにオンライン物件検索を使うのがおすすめです。

添付情報の添付

申請書には、登記原因証明情報として相続関係説明図を添付します。相続関係説明図をPDFファイル化しておき、申請用総合ソフトの「ファイル添付」ボタンからPDFファイルを添付しましょう。

登記原因証明情報として、戸籍謄本・抄本や遺産分割協議書などを電子データ化して送信することもできます。もっとも、戸籍謄本・抄本や遺産分割協議書などの枚数が多い資料をすべてデータ化して送信するのには手間がかかるので、ここでは相続関係説明図の添付をおすすめします。

電子署名・申請情報の送信

「署名対象申請一覧」画面で「ICカードで署名」をクリックし、マイナンバーカードをICカードリーダライタに差し込んで「OK」をクリックすれば、電子署名は完了です。

電子署名が完了したら申請前の準備が整うので、「申請データ送信」ボタンをクリックし、申請情報の送信を行います。

送信が完了すると「受付確認」ボタンが表示され、このボタンをクリックすると受付年月日、受付番号、申請情報が記載された「受付のお知らせ」が表示されます。受付年月日、受付番号、申請情報などは、申請した内容を特定するために必要なので、印刷するかスクリーンショットなどで保存しておくことをおすすめします。

申請した後の流れ

申請した後の流れ_イメージ

オンライン申請後も登録免許税の納付や添付書面の送付をはじめ、いくつか大事なことがあります。オンライン申請後の流れについて解説するので、申請が終わったら必ず期限内にこれらの手続を済ませておきましょう。

登録免許税の納付

申請が完了すると申請用総合ソフトに「納付」ボタンが表示されるので、登録免許税の納付を行います。登録免許税の納付方法には、下記の3つの方法があります。

  • 現金
  • 収入印紙
  • オンライン

現金納付は納付書を使用して登録免許税を支払う方法です。支払いが済んだら、申請用総合ソフトから登録免許税納付用紙を印刷して領収書を張り付け、法務局へ郵送します。

収入印紙は登録免許税額が3万円以下の場合に限って認められる納付方法であり、現金の場合と同じく登録免許税納付用紙を印刷し、収入印紙を張り付けて郵送します。

オンラインでの支払いは、インターネットバンキングかATMで電子納付を行います。納付期限は申請情報が到着した日の翌日から起算し、閉庁日を除いて1日間です。申請時点で支払いが済んでいない場合、速やかに支払いを行いましょう。

添付書面の送付

申請情報の送信後、以下の書類を添付書類として法務局へ提出します。

  • 相続登記の必要書類
  • 登録免許税納付用紙
  • 返信用封筒

申請用総合ソフトから「書面により提出した添付情報の内訳表」を印刷し、必要書類をホチキスやクリップでまとめます。万が一、郵送事故などがあった場合に備え、郵送には簡易書留などの記録が残る郵送方法を使うのがおすすめです。

添付書類は、相続登記の申請受付日から3日以内に法務局へ持参もしくは郵送にて提出します。返信用封筒は、登記識別情報の送付や戸籍謄本などの原本の返却に必要なので、希望する場合には同封しましょう。

完了確認

完了確認_イメージ

申請情報や添付書面に訂正や不備がなければ、申請から1~2週間程度で登記が完了します。申請用総合ソフトで自分が申請した案件を確認し、処理状況欄が「手続終了」となっていれば相続登記は無事完了しています。

申請者情報の登録時に、処理状況に応じた案内メールの受信設定ができるので、確認を忘れないために設定しておくとよいでしょう。

登記識別情報の受領

登記が完了すると、登記識別情報通知および登記完了証が交付されます。登記識別情報とは、数字や記号を組合せた12桁の符号であり、登記完了証は申請された相続登記が完了したことを知らせる通知です。

登記識別情報通知と登記完了証は、どちらもデータで受領できますが、登記識別情報は不動産の所有者であることを証明する非常に重要な情報なので、書面でも保存しておくことを推奨します。データのみの場合、パソコンの故障などでデータが消失してしまう危険があります。

相続登記をオンラインで行うメリット・注意点

相続登記のオンライン申請について解説してきましたが、オンライン申請にはメリットもあれば注意点もあります。ここでは相続登記をオンラインで行うメリットと注意点を解説するので、手続の際に参考にしてください。

メリット

相続登記のオンライン申請には、以下のようなメリットがあります。

  • 申請・支払い・修正が自宅からできる
  • 平日21時まで申請できる
  • 申請状況がわかる

申請・支払い・修正がすべて自宅からできる

申請・支払い・修正がすべて自宅からできる_イメージ

オンラインであれば登記する物件の所在地にかかわらず、自宅から相続登記の申請ができます。

法務局は不動産の所在地ごとに管轄が決まっているため、窓口で手続する場合、登記する物件が遠方にあってもわざわざ管轄の法務局まで出向かなければなりません。しかし、オンライン申請なら物件の所在地に関係なく、自宅から相続登記を行えます。

また、窓口での手続の場合、不備があると法務局まで出向いて修正する必要がありますが、オンライン申請なら自宅で修正が可能です。

そして、登記と同様に登録免許税も申請・修正・支払いをすべてオンラインで行えます

平日21時まで申請できる

法務局の開庁時間は平日8時30分〜17時15分までですが、オンライン申請は平日8時30分〜21時まで利用可能です。平日は仕事の都合もあり、法務局へ行く時間がないという方も多いでしょう。そんな方にとって、オンライン申請はおすすめです。

オンライン申請で手続した場合、17時15分以降に送信された場合は翌開庁日に受付されます。

申請状況がわかる

オンライン以外の方法で手続した場合、登記が完了しても法務局から連絡が来るわけではないので、各法務局の公式サイトで完了日を確認しなければなりません。しかし、オンラインならシステム上の通知で登記が完了したことを確認できるため、申請状況を随時確認できます。

注意点

オンライン申請の注意点としては、下記のことが挙げられます。

  • 添付書類の送付・登録免許税の納付には期限がある
  • 「補正のお知らせ」を見落としやすい
  • 相続関係説明図の間違いは修正不可

どれも手続に関わる重要なことなので、一読したうえで内容をおさえておきましょう。

添付書類の送付・登録免許税の納付には期限がある

添付書類の送付・登録免許税の納付には期限がある_イメージ

添付書類の送付は相続登記の申請受付日から3日以内、登録免許税の納付は申請情報が到着した日の翌日から起算して1日間と、それぞれ期限が決まっています。特に登録免許税の支払い期限は短いので、申請後はすぐに支払いを完了させましょう。

添付書類も発送したらすぐに到着するわけではないので、郵送にかかる日数も考え、できるだけ早い段階で発送手続を済ませておくのが無難です。

「補正のお知らせ」を見落としやすい

申請情報や添付書面に不備があると、オンライン申請システムに「補正のお知らせ」が届くので、見落とさないよう注意しましょう。補正が完了しないと、登記の手続はいつまでも完了しません。申請内容の不備のほか、書類の不足などでも補正を求められる場合があります。

補正には期限があるので、期限を確認したうえで迅速に補正をするようにしてください。期限を過ぎると申請が却下され、再度やり直しになってしまう場合もあります。

相続関係説明図の間違いは修正不可

オンライン申請の際に相続関係説明図をPDFファイル化して添付しますが、相続関係説明図は修正できません。そのため、もし相続関係説明図に誤りがあった場合、申請を一旦取り下げて再度申請し直す必要があります。申請のやり直しには手間がかかるので、相続関係説明図の内容には間違いがないよう念入りにチェックしましょう。

オンライン申請が不安なら司法書士への依頼がおすすめ

相続登記のオンライン申請は、自宅で手続を完了させられる便利な手段です。本記事で紹介した流れに沿って、ぜひご自身で申請を進めてみてください。

ただし、オンラインで相続登記を行うにはパソコンを所有していることが前提であり、そのうえである程度パソコン操作に慣れている必要があるでしょう。誤った申請があると、補正を依頼されて二度手間になってしまいます。

もしオンライン申請に自信がない場合、相続登記の手続をすべて司法書士に任せることもできます。司法書士に依頼すれば必要書類も不足なく確実に用意できるので、相続登記の手間を削減したい方は司法書士への依頼もご検討ください。

記事の監修者

司法書士法人さくら事務所 坂本孝文

司法書士法人さくら事務所
代表司法書士 坂本 孝文

昭和55年7月6日静岡県浜松市生まれ。大学から上京し、法政大学の法学部へ進学。
平成18年に司法書士試験に合格。その後、司法書士事務所(法人)に入り債務整理業務を中心に取り扱う。
平成29年に司法書士法人さくら事務所を立ち上げ、相続手続や不動産登記、債務整理業務を手がける。

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