相続登記の必要な書類をケース毎に解説!あわせて覚えておきたいポイントとは

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相続登記に必要な書類をケースごとに解説

相続登記の手続を行うには申請するための書類が必要になりますが、この書類は相続登記を行う方法によって集める種類が異なります。以下では3つのケースに分けて必要な勝利を解説していきます。なお、一部書類は申請方法や自治体によって金額が異なることがあります。これらの金額については目安として活用してみてください。

遺言書を用いて相続登記する場合

遺言書を用いた相続登記には、必ず遺言書を準備する必要があります。遺言書の種類には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があり、自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度を利用していないもの)と秘密証書遺言は家庭裁判所から検認をうける必要があります。この検認とは遺言書が被相続人がのこした正式なものであるかどうかの検証手続を指します。なお、公正証書遺言の場合はこの検認が不要になります。

書類名 取得先 費用
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場の窓口 450円
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票 200円~300円
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場の窓口 200円~400円
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など 任意の金額
登記申請書 法務局窓口・法務局公式サイト・自分で作成 無料
返信用封筒 郵便局・コンビニなど 任意の金額
遺言書 800円(検認)

※戸籍の広域交付制度を用いることで、最寄りの市区町村役場で戸籍謄本を一括取得可能。ただし、きょうだいや叔父叔母の戸籍・コンピューター化されていない戸籍は対応不可

遺産分割協議書を用いて相続登記する場合

遺産分割協議書とは、相続人全員が集まり相続財産の分配を取り決めた書類を指します。遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印が必要になるため注意しましょう。このケースでは遺産分割協議書とあわせて、相続人の印鑑登録証明書が必要になります。

書類名 取得先 費用
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場の窓口 450円
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票 200円~300円
不動産取得者の住民票
相続人の印鑑登録証明書
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場の窓口 200円~400円
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など 任意の金額
登記申請書 法務局窓口・法務局公式サイト・自分で作成 無料
返信用封筒 郵便局・コンビニなど 任意の金額
遺産分割協議書 自分で作成

※戸籍の広域交付制度を用いることで、最寄りの市区町村役場で戸籍謄本を一括取得可能。ただし、きょうだいや叔父叔母の戸籍・コンピューター化されていない戸籍は対応不可

法定相続分どおりに登記相続する場合

法律で決められた相続人ごとの遺産をもらえる割合を「法定相続分」と言います。遺言書がなく、遺産分割協議書も作成しない場合に用いられ、主に配偶者と子・親・きょうだいのいずれか(法定相続人)が相続人になります。

書類名 取得先 費用
相続人全員の戸籍謄本 市区町村役場の窓口 450円
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票の除票 200円~300円
不動産取得者の住民票
相続する不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場の窓口 200円~400円
収入印紙 郵便局・コンビニ・法務局など 任意の金額
登記申請書 法務局窓口・法務局公式サイト・自分で作成 無料
返信用封筒 郵便局・コンビニなど 任意の金額

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相続登記で必要な書類の解説

相続登記には、さまざまな書類が必要になります。主な書類を下記に紹介します。

  • 相続登記申請書
  • 登記事項証明書
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書と遺産分割協議書
  • 不動産取得者の住民票
  • 固定資産税評価証明書

それぞれ解説していきましょう。

相続登記申請書

相続登記の申請で用いるのが「相続登記申請書」です。法務局の窓口や法務局公式サイトから取得することができます。申請する登記の内容や状況ごとにサンプルが分かれているので自身の状況に応じて活用していきましょう。なお、記載する項目を把握していれば自作でも問題はありませんが、法務局が用意しているものを使用した方が不備が出にくいでしょう。

【登記申請書の記載例】

登記申請書の記載例

※引用:登記申請書の記載例|法務局

登記事項証明書

登記事項証明書は、対象となる不動産の所有者情報や権利関係を証明する書類です。相続登記の際には、相続対象の不動産が誰の名義で登記されているかや、不動産の正確な地番や家屋番号などの情報が必要です。この証明書に基づき、被相続人から相続人へと所有権が適切に移転されることが保証されます。

被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本

「戸籍謄本」は、誰が相続人なのかを証明する書類です。相続人が誰かを確定するために、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本を収集する必要があります。

被相続人の住民票の除票

「被相続人の住民票の除票」は、戸籍上の被相続人・登記簿上の被相続人が同じ人であることを証明する書類です。被相続人の登記されている住所と、亡くなった時の住所が異なっているときは、前の住所地で記録のある「住民票の除票」で住所が変わったことを証明しなければいけません。

相続人全員の戸籍謄本

相続人全員の戸籍謄本は、相続権を持つ者を明確にするための重要な書類です。これにより、相続人が誰であるかを法的に証明し、相続人全員が揃っていることを確認します。この書類をもとに、相続手続が適正に行われることを保証します。

相続人全員の印鑑登録証明書と遺産分割協議書

遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分割方法を決定し、書面で記録したものです。全員の同意が必要であり、その署名・押印を証明するために、相続人全員の印鑑証明書が添付されます。この協議書と印鑑証明書が揃って初めて、法的に有効な相続手続が可能となります。

不動産取得者の住民票

不動産取得者の住民票は、相続登記において新たに不動産を取得する相続人の住所を証明する書類です。この住民票により、登記簿に記載される新しい所有者の正確な住所が確認されます。

固定資産税評価証明書

固定資産税評価証明書は、建物や土地などの固定資産税がかかる資産の評価額を証明する書類です。相続登記には資産の評価額に基づいて支払う必要のある「登録免許税」がかかるのですが、その計算で固定資産税評価証明書が必要になります。最新の証明書を準備しなければいけません。

よくある相続登記手続以外での必要書類

相続登記でよくあるケースとして遺言・遺産分割協議書・法定相続ごとに必要書類を紹介しましたが、以下では前述以外のケースで求められる書類を解説します。

相続人が単独の場合

両親が亡くなっているなどで、相続人が1人だった場合は遺産分割協議書や印鑑登録証明書は不要になります。なお、不動産を相続するのが複数人いる中の1人のみという場合であれば、両方の書類が必要になります。以下では相続人が単独になりやすいケースである、一人っ子だった場合の相続登記について解説しています。

相続放棄した場合

相続人の中に相続放棄者がいる場合は「相続放棄申述受理証明書」が必要(相続放棄申述受理通知書でも代用可)になります。また、これら書類や戸籍謄本などで、相続放棄した人物が被相続人の相続人である旨が分かる場合、相続放棄した人物の戸籍謄本は不要です。

相続人が海外在住の場合

海外在住者の場合、住民票や印鑑登録証明書が発行されません。これは日本独自の書類形態であることが原因です。その代替として在留証明書や署名証明書を領事館で発行してもらう必要があります。なお海外在住者がいる場合の相続登記手続は下記をご参照ください。

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相続登記の書類で注意したい点

相続登記の書類を収集する際に気をつけておきたい点を解説します。

必要書類の有効期限について

基本的に相続登記に用いる書類には有効期限はありません。ただし、必要情報の精度などに影響するものについては例外的に存在します。

固定資産評価証明書は、相続登記に必要な登録免許税を計算するために最新のものを添付する必要があります。評価額は毎年変動するため、古い証明書では正しい税額を計算できません。評価証明書は4月1日に切り替わるため、年度が変わってから申請する場合は特に注意が必要です。

もし未成年者が登記申請人で法定代理人が手続を行う場合、代理権限を証明する書類は発行後3か月以内のものであることが求められます。たとえば、未成年者の親権者が法定代理人として手続きする際、発行から3か月以内の戸籍謄本が必要です。こうした複雑なケースについては、司法書士に相談することをおすすめします。

手続を代理人に依頼するなら委任状を用意

相続手続を相続人以外の代理人に依頼する場合は、委任状を用意する必要があります。専門家である司法書士などに依頼する場合は、委任状の様式を準備してくれるケースが多く、そこに署名と実印を押すだけで事足ります。

もし相続登記の手続が難航したら司法書士へ相談することをおすすめします。最近では無料相談を受け付けている事務所も増えてきている傾向にあるため、費用面は気にせず問い合わせすることが可能です。

書類は基本的に原本提出が求められる

相続登記で提出する書類はすべて原本で提出が求められます。提出した原本は原本還付の手続を行わないと、法務局での審査後に返却されません。詳しくは以下で解説しています。

なお、法定相続情報証明制度を用いれば、戸籍謄本などの提出書類の手間を簡略化することも可能です。こちらも以下で解説しているので気になる方はご参照ください。

相続登記をしないと発生するリスク

相続登記を先延ばしにすると、さまざまなリスクが発生し、以下のようなデメリットが生まれます。

  • 必要書類の準備ができなくなる
  • 不動産の売却・担保の設定ができない
  • 相続人が認知症などになって遺産分割協議がスムーズに進まなくなる
  • 相続人が多くなって議論がまとまらない
  • 不動産の所有権を失うリスクがある

相続登記を早期に実施することで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。ただ、相続登記を自力でやろうとすると、多くの時間と手間がかかります。相続登記の手順は複雑なうえ、さまざまな書類が必要となり、慣れない対応で負担が大きいことが想定されます。相続登記の専門家である司法書士は無料相談を受け付けてるケースが多いので、もし行き詰ったら専門家の力を積極的活用して、円滑な手続を進めていきましょう。

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記事の監修者

司法書士法人さくら事務所 坂本孝文

司法書士法人さくら事務所
代表司法書士 坂本 孝文

昭和55年7月6日静岡県浜松市生まれ。大学から上京し、法政大学の法学部へ進学。
平成18年に司法書士試験に合格。その後、司法書士事務所(法人)に入り債務整理業務を中心に取り扱う。
平成29年に司法書士法人さくら事務所を立ち上げ、相続手続や不動産登記、債務整理業務を手がける。

【メディア掲載】
・「女性自身」2024年5月7・14日合併号にて相続手続の解説を掲載